9.インディアンの青年に助けられた。 | ||||
「どうしよう?」と焦る気持ちと「なんとかなるんとちがうやろか?」が同居して次なる行動が何にもできなかった。そんなところに、インディアンの青年が一人自転車で空港にやってきた。建物の中イコール僕の前という小さな空港ロビーなのだ。ぼくが彼にSOSの空気を送っていたのか、彼が「どうした?」と尋ねてくれた。レンタカーを探しているのだと伝えると、彼は、電話帳をめくり車を貸してくれそうなところに電話をしてくれたのだが、日曜日のために2軒とも休みで電話に出る人がいなかった。また、この小さな町には、レンタカー屋さんというものが無く副業に車を貸しているようだ。アジアとちがう外国の日曜日はサービス業もお休みだというのを頭に入れておかないと身動き一つできない。 仕方がないので、ホテルを探してもらうことにする。明日の朝の飛行機でここを発つ旨を伝えると「近くがいいな」と窓から指を指し、あそこのホテルに電話してみると言ってくれた。彼の指さしたところにホテルらしき物が見えず、平屋の倉庫のような物がぽつんぽつんと見えるだけだった。 ホテルの人と楽しそうに話をしている。この町では、みんなが知り合いなのかもしれないと思った。五分もしないうちにホテルのバンがやって来た。運転をしているのは若いときのアグネス・チャンそっくりの女性だ。日本人だと思い日本語で話しかけると英語での返事だった。中国系カナダ人だそうだ。だいぶ日本語が恋しくなっているみたいだ。 お世話になったインディアンの青年にお礼を言って車に乗り込む。彼も自転車に乗ってどこかに行ってしまった。お世話になってこんな事を思うのは失礼なのだが、彼は何をしにこの空港に来たんだろう。そして、広告ボードにあった電話は何処にでも無料で掛けられる電話機ではないのか?わからないことがいっぱいのノーマンウェールズ空港での出来事だった。 |
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