ポカリの日記  タエコ・メッツラー
恐ろしかったこと!(5)
日本のチームワークはピカイチだなあ、っと思った!
どうです、すっかり元気でしょ!
ファミリー勢揃いです。よろしく!
 それからそのお医者さんは日本とアメリカの予防注射についての資料を持って来てくれて、日本でどの予防注射をしておいた方がいいか、などを話してくれた。

 そのお医者さんが(若いしハンサムで?)親切なので、そのころには私の怒りもすっかりおさまっていて、日本は医学上は後進国かもしれないけど、お医者さんも看護婦さんもやさしくて親切だし、(注:出産した時のアメリカの看護婦さんにはめちゃくちゃ厳しい人がいた)さすがチームワークはピカイチだなあ、っと思った。

 だってその日に私がちょっと文句めいた事を言ったら、ちゃんとお医者さんに伝わっていて、その事についていろいろと弁明してくれるからだ。看護婦さん同士でも話がちゃんと伝わっていてる。アメリカでは違う看護婦さんがきたら、いつでも1から説明しないといけなかったのに。(チームワークの点では日本の右にでる国はないんじゃないかなあ。

 私はこの入院生活がすっかり気にいった。それはお医者さんがハンサムだからというのではない。まず第一に、家にいるとルクの病状が心配だけれど、病院にいると安心だ。その上お料理もしなくていいし、上の子たちの世話をしなくていいし、掃除もしなくていいのだ。それから病院のお風呂はアパートのよりもずっと大きいし、1日4回の薬物治療(気管支を広げる薬を吸入させること)と、たんを鼻からとってあげること以外はルクに本を読んであげるくらいしかしなくていいし、寝ている時なんか何もしなくていい。
 家にいる時は自分の時間なんて皆が寝てしまってからくらいしかないのだから、こんな結構なことはない。(その代わりに、かわいそうに家にいるマークは大変だったに違いない。)

 その貴重な自分の時間を、ハリーポタの5巻に費やすことにした。なんや!って思うかもしれないけど、実はわたしはハリポタの大ファンで、とくに3巻の「アスカバンの囚人」は面白くてついつい朝まで読んで、寝不足になる始末だった。原文をよんでるので結構時間がかかるけれど、やめられない。ちなみに娘のカイリはハリポタの映画が大好きで、いつも「ママ、どうしてハリポタじゃなくてパパと結婚しちゃったの?」と聞く。(ママは成熟した大人だけどハリポタはまだ子供だぞ!)

 ハリポタを読んでいるとルクのお医者さんが来て、「ハリーポター、よんでるんですか?実はぼくも大好きなんですよ。もう4巻までは読んだんですけどね、日本ではまだ5巻は発売されてないんです。だから5巻の内容は言わないでくださいよ」と言って私が5巻の内容を言うのを恐れて慌てて出て行ってしまった。お医者さんがハリポタを読むなんて、なんか変な感じがしたけど、魔法を使っても使わなくても、ルクの病気を直してくれるんだったらなんでもいいか。。

 そうこうしている間に入院生活も終ることになった。最初は3週間くらいの入院といわれていたのが、結局10日でルクの病気はすっかりなおったのだ。この病院に最初に来たときは恐ろしかったけど、その後はとても楽しかった。

 こうやって、ルクだけの面倒をみてあげることはもうないんだろうなあ。と思ったけれど、肝心のルクは入院生活はあまりすきではなかったようで、私がトイレに行ったり、少しでも離れると、怖いのか泣いて泣いてしかたなかった。家に帰ってからは、安心したのか、私がそばにいなくてもちっとも泣かなくなったのだ。ルクちん、ごくろうさまでした!
                  よろしくね
                                        (つづく)