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タエコ・メッツラー | |||||
恐ろしかったこと!(1) 「急に呼吸困難になりました。大変悪い状況です。 人口呼吸器が必要です。命の保証はできません」 |
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かぜをひいてしまい、せきをするようになって2日くらいしたら、もう熱が39度くらい上がってきた。うわーどうしよう、と思った時はもう午後7時を過ぎていた。 閉まっている小児科医院に無理を言って開けてもらい、みてもらったら、入院が必要だとのこと。すぐにタクシーで紹介された区の救急総合病院まで行った。 ところがこの救急病院が悪かった。2時間ほど待たされて「あのー、この子、熱がすごく高いんですけど」と言っても、おたんこなすの看護婦さんは、「順番、順番!」とすげなく言うだけだった。やっとのことで診察してもらったら、「この病院は呼吸器の設備が整ってないから入院できません」、医者のでくのぼうに言われた。そうしている間にルクはますますぐったりしてきて、苦しそうになってきたのだ。 長嶋茂雄が入院していた病院だったが、サインはもらえなかった東京女子医大に救急車で行った時には、もう10時近くになっていた。それでもここの優れたお医者さまは(40代くらいのちゅうとはんぱにきれいな女性だった)すぐに診察してくれた。 そのお医者さまに、この細気管支炎は非常に危険な病気だと聞かされた。肺と気管支の間にある細気管支に炎症を起こしてしまうと、赤ちゃんは特にこの部分が細いので、すぐに呼吸できなくなるのだそうだ。あっという間に命を落としてしまうケースが多々あるそうだ。 レントゲンを撮ってもらったら、小児科医院で撮ったときからもうすでに3時間経過していて、炎症が気管支から肺のほうまで広がっていた。この3時間でかなり病状が悪化していたのだ。(あのどれかぼちゃ総合病院!) そうしている間にもルクの呼吸がすごく苦しそうになってきて、お医者さんに「急に呼吸困難になりました。大変悪い状況です。人口呼吸器が必要です。命の保証はできません」といわれた。 そしてお医者さまにポンプで酸素を入れてもらいながらルクは集中治療室に入ってしまい、私は「何かあればすぐに呼びますので、待合室で待っていてください」と言われたのだ。 その時のおそろしかったこと!30年プラス幾年か生きてきて、こんなに恐ろしい目にあったのは生まれて初めてのことだったと思う。涙もでなかった。ただただ、ルクちゃん、がんばって、と祈るだけだった。 (つづく) |
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