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タエコ・メッツラー | |||||
恐ろしかったこと!(3) 病室の外で待っていた。するとルクがギャーギャー泣きだした。 20分くらいたってもまだ終らなかった。 私は、いてもたってもいられなくなって・・・ |
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ルクの鼻に管が入れられていた。母乳は搾乳して鼻から注入する事になったからだ。口からだとまちがって気管の方に入ったりする危険性があるからだ。鼻から飲んでもおいしくないだろうなあ、かわいそうに、と思ったけれどしかたがない。 その日は次の日からの入院の用意をする為に、夜に一旦家に帰った。次の日病院に来てみると、ルクはもう集中治療室にはいなくて小児科病棟に移されていた。そしてそれからルクは日に日に良くなっていった。 ここのお医者さんも看護婦さんもすごく親切な人ばかりで、良かったんだけど、1度だけ「えー??」と思う事があった。というのはある日ルクの主治医でない女医さんが来て、「検査の為に採血しますから、お母さんは病室から出て行ってください」と言われた事だ。 なんで一緒にいたらだめなのかなあ、と思ったけど、しようがないから病室の外で待っていた。するとルクがギャーギャー泣きだした。それでもずっと待っていたけれど、20分くらいたってもまだ終らなかった。こんなに時間がかかるなんておかしいし、ずっと泣いているから、私はいてもたってもいられなくなって、病室に入っていった。するとそのお医者さんが「すみませんがまだ血液が採れてないんで、出て行ってくれますか?」と言われた。やっと30分くらい経過した時に看護婦さんが、入ってもいいと呼びに来てくれた。 私は採血に時間がかかってルクがずっと泣いていたのは仕方がないとしても、自分が病室から出て行かなければならなかった事に納得がいかなくて、看護婦さんに、「どうして母親が出て行かないといけないんですか?アメリカでは子供に注射や採血をする時は母親も参加して、子供が動かないように手を持っておいたりするのに。 お医者さんも「歌でも唄ってあげてくださいね」なんて言ってくれるのに。。」と言った。するとその看護婦さんは「アメリカではそうなんですか。。でも日本ではいつも親には出て行ってもらうんですよ。手とかを抑えておくのは日本では看護婦の役目なんですよね。」と言うのだ。私はなんじゃそりゃ、何にも答えになっとらんわ、と思って腑に落ちなかった。 (つづく) |
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