タエコ・メッツラー
ポカリの新アメリカ日記(2)
トミーが窓からおっこちた!(3)
「もしルクが窓からトミーみたいにおっこちたらね、
ぼくパパみたいに助けてあげるんだ!
でも僕もルクの事が心配で気絶しちゃうのかなあ。。」
 7時ごろトミーの手術が始った。でも30分くらいで手術は無事終わった。 トミーも私もゆうべは眠れなかったので、ぐうぐう寝ていたんだけど、何回も起こされた。

医者も含めていろいろな人が病室に入って来てトミーが窓から落ちた時の事情を聞きに来たからだ。そのたびに同じ事をいわなければならなかった。 「トミーは気絶しましたか?」といつも聞かれるので、私は毎回おもしろがって「主人は気絶しましたが、息子は大丈夫でした。」と言っていたのだが、みんな「その話(マークが気絶した事)聞きました、聞きました」、と言うのでこっちが驚かされた。よほどめずらしかったようだ。

 事情を聞きに来た人の中ではソーシャルワーカー(社会事業相談員)の人もいて、いろいろ質問された。どうやら私が子供を虐待していないかどうか調べにきたようだ。

子供の学校はどこか聞かれたので答えると、その人は後でわざわざもどってきて、「住所はここなのに、どうして遠い学校にいっているのか?」ときかれたりした。私がうそをついているとでも思ったのだろう。引っ越したところだったので、子供は学期が終わるまで前の学校に行っていたのだけれど、なんか警察に尋問されているようで、いやーな感じ。。

 でもとても楽しいこともあった。ミュージシャンの人が病室に来てくれて、いろんな子供の歌を歌ったり、楽器をひいたりしてくれた事だ。それにアイスクリームなど食べ物を看護婦さんたちがたくさん持って来てくれる。そのへんはさすがアメリカ!(人が太るはずだ!)

 そんなこんなでその日のうちにもうトミーは家に帰れた。耳ももう大丈夫だ。病院にいるときにカイリが電話でトミーに、「カイちゃんね、トミーの事大好きなんだよ。もう窓からおっこちないでね。気をつきてね。」なんて言っていたんだけれど、家に帰ったトミーは疲れて眠りこけているので、カイリは「トミー、せっかく遊ぼうと思ってたのに、寝てばっかりいるんだったら、カイちゃんもうトミーとずーっと遊んであげないよ!!」と怒りだしたりした。かわいそうにトミーは疲れているのに、よけいにストレスがたまったことだろう。

 そうそう、気絶したマークだけれど、それからもちろん元気になったんだけれど、次にトミーを病院に連れていったときはトミーに「パパ、気絶しない?大丈夫?」と心配そうに言われていたのでおかしかった。「もしルクが窓からトミーみたいにおっこちたらね、ぼくパパみたいに助けてあげるんだ!でも僕もルクの事が心配で気絶しちゃうのかなあ。。」なんて今だに言っているトミーだ。もう忘れてあげて!!(つづく)

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