8.石油(白人)の町、ノーマン・ウェールズに着く
着陸と同時に大きなタンクローリーが給油にきた。
この人たちも、こんな小さな空港が珍しいの
カメラをあちこち向けていた。
空港の外は、マッケンジー川と大平原があるだけ。
ここは、白人の町でESSO石油の小さな町だ。
 イエローナイフはノースウェスト準州の州都と言うことで大きな街らしいのだが、相変わらず空港周辺は何もなく針葉樹の森と湖だけが延々と続いている。飛行機が飛び立ってからの景色もどこまでもどこまでも同じような不毛の大地が広がっている。

 この景色のあまりの大きさに「もったいない。こんな広い土地が手つかずに残っているなんて!」と日本的感覚で見てしまう。でも、この大自然が野生動物にとっては地球上に残された最後のユートピアなのかも知れない。飛行機が高度を落としてきたときに飛行機の轟音から逃れるように大きな鹿が走っているのが見える。
 難攻不落と思われていたアマゾンのジャングルも人間の手によって、ものすごいスピードで開発されているのを見ると眼下に広がる不毛の大地がとても愛しく思えてきた。

 このまま大地が尽きるまで変化がないだろうと思われた眼下の景色に大きな変化が現れてきた。今までは一面平らだった地形にとてつもなく大きな断層が見えてきたのだ。飛行ルートの真下を境に東側と西側で高さが一気に違ってきたのだ。断崖の下側(東側)は、今までのような凹凸のない湖ばかりの景色に対し、断崖の上部(西側)は緑も多く見られるようになってきた。断崖の東端は大きく盛り上がり山脈になっている。飛行機の高度がぐんぐん下がりその山脈よりも高度が低くなったと思ったらノーマンウェールズ空港の滑走路に着地した。

 飛行機も北に向かうたびに小さくなっていくが、空港も小さく小さくローカルになってくる。着陸と同時に燃料を入れる給油車、荷物を下ろすためのトラックが作業をはじめだす。目の前でこのような作業を見るのはとてもたのしい。この楽しさをわかるのは、小さいときからいろんな乗り物のおもちゃで遊んでいた男にしかわからないぞ!と思いながら作業を見続けていた。

 いつの間にか滑走路の上には僕一人が取り残されていた。あわててロビーに出たものの、この空港に降りた人には100%お迎えの人が来ておりピックアップに荷物を積み、楽しそうに歓談しながら車に乗り込みどこかに消えてしまった。またしても一人取り残されてしまった。周りを見回してもレンタカーやホテルの文字が見えない。イエローナイフの時のように・・・。
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