P60 シルクロードは砂漠地帯だが、   
        雨どころか雪が降り、一面の銀世界になる


砂漠に雪が積もるなんて、想像すら出来なかった    “不毛の地”という言葉がびったりの景色が
    何処までも広がっている
 西安を出た大陸横断鉄道からの景色は一様でなく、時間とともに変化がある。
変化といっても日本のように、分・秒単位のようにめまぐるしいものでなく、
日単位というスケールの大きいものだ。黄土高原の土色一色の世界、
小石混じりの“ゴビ灘”といわれる広大で不毛な平地が続いたかと思うと、
今度は両側に樹が一本もない赤茶けた山が迫ってくる、というように実に
変化に富んだ風景が窓の外に広がる。列車内の温度が上がったり下がったり
することで、列車が走っている所の高度が読みとれる。
 窓の外に広がる地面の小さな起伏に、白い物が時々見えていたのを、
はじめは砂漠化したところに吹き出す塩かと思っていた。 しかし、車内の
気温の低下と共に窓の外の白い物が増してきて、雪だというのが分かった。
それにしても、シルクロードは砂漠地帯で、一年中暑くて雨など一滴も降らない
所だと思っていたのが、雨どころか雪が降り、しかも列車が高度を上げるに従い
一面の銀世界になってしまうのを見て、中国の広さを改めて実感する。
 窓の外の雪はサラサラのパウダースノーのようで相当気温が下がっている
のが分かる。同室の劉さんに、この時期「ウルムチは平均気温がマイナス5・6度で
雪も良く積もるよ」と教えられた。予想外の猛吹雪に夏服プラスアルファーの服しか
リュックに詰めてこなかったので、これから先の旅が思いやられた。


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