.ほんとうに陸の孤島なんだ。
村を一歩離れると大湿原地帯に。
ディーゼル発電所。これって、
日本の僻地にも有効な施設かもしれないと思った。
 学校のある丘の上からは、Fort Good Hopeが北極圏の広大なスプルースの森の中の“点”であることが視覚的にも実感できる。Fort Good HopeのFortとは砦という意味で、カナダやアメリカにはFortと付く地名が実に多い。「砦」「インディアン」「白人」という言葉が並ぶだけで、この地域の歴史的背景が見えてくるような、そんな感じがする。

 隣の集落からは200qや300qも離れているというのに、あまり僻地に来た感じがしないのは、セスナ機であっても飛行機で来られたからだろう。乗り継ぎ乗り継ぎででも飛行機がなければ、とても僕なんかが「ちょっと行ってこよう!」と来れるところではないのだ。

 村の集落を離れるとディーゼルエンジンが唸り音を上げているところがある。看板には「発電所」と書いてある。そういえば、この村の電気エネルギーは、この村で作らないと他からは持ってこれるような所じゃないのだ。燃料を外から持ってくるとしても、この村で電気を起こし、この村で水を作り、この村で廃棄物を処理している。日本海、太平洋の海に囲まれた島国・日本という国といっしょなんだ、という親近感を覚えてしまう。では、この国?の産業は、と言うと漁猟であったり狩猟である。あとは、地下資源の豊かなノース・ウエスト準州に企業から支払われる石油・鉱物産業からのロイヤリティーや、国が土地の収用補償料などががみんなに還元されているのだろう。
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